古い団地やマンションの和室をフローリングに変更する場合、一戸建てのリフォームとは異なる特有の条件と費用が発生します。先日、築三十五年の集合住宅で行われたリフォーム事例をご紹介します。この事例の主眼は、単に床をきれいにすることではなく、団地の厳しい遮音規定を守りながら、いかに安く、かつ機能的に仕上げるかという点にありました。この物件では、管理規約によって「LL四十五」という遮音等級以上の床材を使用することが義務付けられていました。これは、上の階の生活音が下の階に響かないようにするための基準です。そのため、通常の一戸建て用フローリングではなく、裏側に特殊なクッション材がついた遮音フローリングを選択しました。六畳の部屋での総費用は約二十二万円となりました。内訳を見ると、遮音フローリングの材料費が通常のものより三万円ほど高く、施工費も特殊な接着剤を使用するため若干割高になっています。しかし、この材料を選ばなければ管理組合の許可が下りず、リフォームそのものができません。工事の工程では、まず古い畳を撤去し、コンクリートの床板をきれいに清掃しました。団地の場合、床板が完全に水平でないことも多いため、セルフレベリング材という液体状の補修材を使って床を平らにする作業が追加されました。これにプラス一万五千円かかりましたが、この工程を省くと、新しいフローリングを貼った後に一部が浮いてしまう可能性があるため、不可欠な投資でした。一方で、費用を節約したポイントは、壁紙との境目にある巾木を既存のものに塗装して再利用した点です。これにより数千円の節約になりました。完成した部屋は、以前の古い畳の匂いが消え、パイン材風の明るい色調によって視覚的にも広く感じられるようになりました。施主様からは、冬場の足元の冷え込みが和らぎ、何より下の階への音を気にせず歩けるようになったのが嬉しいという声をいただきました。団地やマンションでのリフォームは、近隣への配慮や共有部分の養生など、職人の手間も多くかかりますが、それらを適切に行うことがトラブルを避け、長く快適に住み続けるための絶対条件です。これから団地のリフォームを検討される方は、まず管理規約を読み込み、必要とされる遮音性能を確認した上で、その要件を満たす見積もりを出してくれる経験豊富な業者を探すことが、失敗しないための第一歩です。
団地の一室を畳からフローリングに改造した事例と掛かった費用