都市部のマンション生活において、フローリングの部屋を一時的に和室に変えられる置き畳は、客間や子供の遊び場として重宝されています。しかし、マンション特有の住環境が、置き畳の下のカビ問題を深刻化させている事実はあまり知られていません。最新のマンションは非常に気密性が高く、外気の影響を受けにくい構造になっています。これは省エネの観点からは優れていますが、一方で室内の湿気が逃げにくいという側面も持っています。特にコンクリート構造のマンションは、新築から数年間は壁や床から微量の水分が放出され続けることもあり、フローリングの上に置いた畳の下は常に湿気がこもりやすい状況にあります。また、マンションのフローリングは下の階への騒音を防ぐためにクッション材が入った遮音フローリングであることが多く、この柔らかさが畳との密着度を高め、空気の流通をさらに阻害してしまいます。冬場、窓ガラスに結露が発生しているような日は、確実に置き畳の下でも同じような現象が起きていると考えるべきです。さらに、マンションの北側の部屋など日当たりが悪い場所に置き畳を敷く場合は、特に注意が必要です。部屋の四隅や家具の陰になる部分は空気が滞留しやすく、カビの発生率が劇的に上がります。このような環境でカビを防ぐには、住居の換気システムを正しく稼働させることはもちろん、置き畳の下に湿気センサー付きのシートを敷くなどの工夫が推奨されます。色が変化することで湿気を知らせてくれるシートは、共働きで忙しく頻繁に畳を上げられない家庭にとって強い味方となります。また、万が一カビが発生した場合、マンションの狭い空間で胞子を飛散させないためには、掃除機で吸い取る前にまずエタノールで除菌し、カビを死滅させてから丁寧に拭き取ることが鉄則です。多くの人がフローリングの傷防止のために畳を敷きますが、その畳の下でカビが発生してフローリングの表面が変色してしまっては本末転倒です。マンションという特殊な密閉空間において、置き畳というアイテムを賢く使いこなすためには、住環境と素材の関係性を正しく理解し、定期的な「床上げ」を怠らない姿勢が求められます。
マンションのフローリングに置く畳とカビの意外な関係