内装職人として多くの現場を見てきた中で、お客様から最も多く寄せられる質問の一つが「6畳の部屋なら何メートル用意すればいいですか」というものです。私たちは経験から「だいたい三十メートル」と答えることが多いのですが、これはあくまで標準的な間取りの場合です。プロが現場で行う計測のコツを知れば、材料が足りなくなって工事が止まるという失敗を未然に防ぐことができます。まず、壁紙の必要量を決めるのは床の面積ではなく、壁の「展開面積」であるという基本を忘れないでください。6畳一間でも、天井が高い家や、ロフトがある部屋では、必要量は大幅に増えます。計測の際は、まず部屋の周囲の長さをセンチメートル単位で正確に測ります。次に天井の高さを測りますが、部屋の四隅でそれぞれ測ってみてください。古い家だと床や天井がわずかに傾いていることがあり、一箇所だけ測ってカットしてしまうと、別の場所で長さが足りなくなることがあるからです。最も高い場所を基準に、さらに十センチメートル程度の「切りしろ」を足したものが、一枚あたりのカット寸法になります。例えば高さが二四〇センチなら、二五〇センチでカットします。壁紙の幅は九十センチですので、周囲の長さを九十で割り、端数は切り上げます。これで必要な枚数(巾数)が出ます。枚数にカット寸法を掛ければ、総延長が算出されます。ここから窓やドアの面積を引くわけですが、私たちはあえて「引きすぎない」ことを推奨しています。なぜなら、窓の上下やドアの上といった細かい部分でも、壁紙の端材がうまく使えず、結局新しい巾を贅沢に使うケースが多いからです。特に柄物の場合、柄を合わせるために数十センチメートル単位で無駄が出るため、窓の面積を一切引かずに計算することさえあります。また、壁紙には「有効幅」というものがあり、両端の数センチメートルは重ね裁ちのために切り落とす部分です。これも計算に入れておかなければなりません。6畳間で柄合わせがない無地の壁紙なら三十メートル、柄合わせがあるなら三十五メートルから四十メートルというのが、私たちプロが予備を含めて提案する安心の数字です。少し余るくらいが、将来の傷や汚れの補修用として保管しておけるため、実は最も効率的な発注方法なのです。計測を丁寧に行い、計算式に余裕を持たせることが、美しい仕上がりへの一番の近道だと言えるでしょう。
プロが教える6畳の壁紙を不足させないための計測のコツ