網戸の設置を専門とする職人や建具店の方々にとって、「この窓には網戸はつきません」と言われた現場こそが、腕の見せ所だといいます。インタビューに応じてくれたベテランの職人は、取り付けが困難とされる窓への対応について、興味深い裏話を語ってくれました。彼によれば、最も厄介なのは「窓枠が歪んでいる古い家」や「建物の構造上、外側にスペースが全くない窓」だそうです。例えば、都会の狭小住宅で見られる、隣家との境界ギリギリに設置された窓などは、外側に網戸を設置しようにも物理的なスペースがありません。そのような場合、職人たちは「持ち出し網戸」という特殊な部材を使います。これは、網戸のレールをサッシよりも外側にせり出させるアタッチメントで、これを使うことで本来隙間がなくて設置できないはずの窓にも網戸を滑り込ませることができます。また、近年増えている「ガラストップの大きなピクチャーウインドウ」など、開閉機能はあるものの網戸の存在を想定していない高級サッシについては、網を上下に巻き取るロールスクリーン型の網戸を特注で製作するそうです。職人は「網戸はもはや、ただ網を張った枠ではない」と言います。防虫効果だけでなく、外からの視線を遮る遮光機能や、ペットが引っ掻いても破れない耐久性を持たせた網など、機能性が多様化しています。取り付けできない窓と言われたとしても、それはあくまで「既製品の網戸がそのままでは合わない」という意味であることが多く、オーダーメイドであればほぼ百パーセントの窓に対応可能だとのことです。もちろん費用は既製品より高くなりますが、一生住む家で夏場に窓を開けられないストレスを考えれば、決して高い投資ではありません。専門家は、網戸選びで失敗しないコツとして「自分で判断する前に、まずはサッシのメーカー名と窓の形状を写真に撮って専門店に見せること」を挙げてくれました。プロの目で見れば、素人には思いもよらない後付け方法や、最新の網戸製品とのマッチングが見えてくるからです。
専門家に聞く網戸設置が困難な窓への特殊な対応術