網戸張り替えの工程の中で、最も技術を要し、かつ仕上がりを左右するのが「網押さえゴムを溝に通す作業」です。ここをスムーズに乗り切るための極意を知っていれば、作業全体の八割は成功したと言っても過言ではありません。ゴム通しを簡単にするための最初のポイントは、ゴムの「クセ」を取ることです。袋から出したばかりのゴムは巻き癖がついていることが多いため、一度手で軽く伸ばしてから使い始めると、溝への収まりが良くなります。次に、ゴムを溝に入れる開始地点ですが、必ず角(コーナー)から少し離れた位置から始めるようにします。角からいきなり始めると、力が入りにくく、ゴムが浮き上がりやすくなるからです。ゴムを一周させる過程で最も難関となるコーナー部分では、ローラーを無理に転がそうとせず、ローラーの持ち手の先端にあるヘラ状の部分や、マイナスドライバーの先を使って、ゴムをグッと奥まで垂直に押し込むのがコツです。角がしっかり決まれば、その後の直線部分はローラーを滑らせるだけで驚くほど簡単に進みます。また、作業中に網がたるんできたと感じたら、無理にゴムの上から引っ張るのではなく、一度その部分のゴムを数センチ持ち上げて、網を整えてから再度入れ直すという「潔さ」も大切です。ゴムは何度でも抜き差しが可能なので、納得いくまで調整できるのが網戸張り替えの利点です。さらに、ゴムを通し終わった最後の処理も重要です。ゴムの端と端が重なる部分は、数ミリ長めにカットして、互いを押し付けるように溝に沈めることで、隙間のない完璧な仕上がりになります。このとき、ゴムを引っ張りながら切ってしまうと、あとでゴムが縮んで隙間ができてしまうため、必ず自然な状態でカットしてください。網戸のゴム通しは、力任せに行うのではなく、道具の特性を理解し、ゴムの性質に合わせるという、一種のリズム感を持って行う作業です。この極意を身につければ、まるで魔法のように網がピンと張り、短時間でプロ顔負けの網戸を完成させることができるようになります。自分の手で仕上げた網戸が窓にピタリと収まる瞬間、その簡単さと爽快感は格別なものとなるでしょう。