リフォームを成功させるための鍵は、施工会社から出てきた見積書を正しく読み解き、適切な予算配分を行うことにあります。多くのお客様が「この工事にはいくら必要ですか」という質問をされますが、実はその答えを出す前に、お客様自身がリフォームに対して何を一番に求めているのかを明確にする必要があります。予算が限られている中で、すべての希望を叶えようとすると、すべての部位で中途半端なグレードを選ばざるを得なくなり、完成後の満足度が低くなる傾向があるからです。私がいつもアドバイスしているのは、予算を「守りの予算」と「攻めの予算」に分けて考える方法です。守りの予算とは、屋根の雨漏り修理やシロアリ対策、耐震補強など、建物の寿命を延ばすために不可欠な工事にかけるお金です。これらは決して削ってはいけない部分であり、まずここにいくら充てるかを確定させます。次に、攻めの予算として、キッチンの使い勝手を良くしたり、リビングを広くしたりといった、生活の質を向上させるための装飾や設備にお金をかけます。一般的な傾向として、戸建て住宅のフルリフォームであれば、延床面積一平方メートルあたり十万円から十五万円程度を標準的な予算感として持つと良いでしょう。例えば百平方メートルの家なら、一千万円から一千五百万円が一つの目安となります。もちろん、これを五百万円に抑えることも可能ですが、その場合は設備を再利用したり、内装の変更を一部屋だけに絞ったりといった工夫が求められます。見積もりを比較する際は、単に合計金額がいくらかを見るのではなく、内訳に注目してください。諸経費という名目で十パーセントから十五パーセント程度が加算されているはずですが、これが極端に安すぎる場合は、現場管理が疎かになるリスクがあります。また、解体費用や廃材処理費が適切に含まれているかも確認が必要です。リフォームの現場では、予期せぬ追加工事が発生することが多々あります。解体後に土台の腐朽が見つかる確率は、築30年以上の家では非常に高いため、見積額の十パーセントから二十パーセントは、最初から「使わないかもしれない予備費」として確保しておくのが、精神的にも安定したリフォームを進める秘訣です。いくら安く済ませたいからといって、複数の会社を過度に競わせ、限界を超えた値引きを引き出すことはお勧めしません。無理な値引きは、最終的に職人の手間を省いたり、材料の質を落としたりすることに繋がりかねないからです。適正価格を知り、信頼できるパートナーを見つけることが、結果として最もコストパフォーマンスの良いリフォームに繋がります。
リフォーム予算をいくらで見積もるべきか専門家が助言する