長年、床の張り替え工事に携わってきた大工として、お客様にお伝えしたいのは「目に見えない部分にこそ、本当の費用の価値がある」ということです。畳を剥がしてフローリングにする際、お客様は完成した表面の板のきれいさに注目されますが、私たち職人が最も神経を使うのは、その下にある下地作りです。安さを売りにする業者の中には、この下地工事を簡略化して見積もりを安く見せているところもありますが、それは後々のトラブルの元になります。例えば、根太の間隔を広くしすぎたり、質の悪い合板を使ったりすれば、数年も経たないうちに床がキシキシと鳴り始めたり、重い家具を置いた場所が凹んでしまったりします。私たちが六畳のリフォームで十五万円から二十万円程度の予算をいただく場合、そこには「二十年経っても平らで静かな床」を保証するための材料と手間が含まれています。特に、下地を組む際の水平出しは職人の腕の見せ所です。古い家は土台がわずかに傾いていることが多いため、それをミリ単位で調整し、どこを歩いても違和感のない床を作ります。この手間を惜しまないことが、結果としてリフォームの満足度に直結するのです。また、フローリング材の選び方についても一言。最近はインターネットで安い建材が手に入りますが、中には湿気で反りやすいものや、表面のコーティングが弱くすぐに傷がつくものも混ざっています。私たちプロが推奨するメーカー品は、多少価格は上がりますが、耐久性や防汚性能が格段に違います。特に、日の当たる南向きの和室を洋室にする場合は、紫外線に強い素材を選ばないと、数年で色が褪せてしまいます。こうした素材のアドバイスも、費用のうちに含まれる「専門知識」だと考えていただければ幸いです。さらに、最近では「畳の上に直接フローリングを敷く」という安価な方法を希望される方もいますが、これはあまりお勧めできません。畳とフローリングの間に湿気がこもり、カビやダニの温床になる可能性が高いからです。やはり、一度畳を撤去し、中をきれいにしてから新しい床を作るのが、住まいを健康に保つための王道です。リフォーム費用は、決して安ければ良いというものではありません。どのような材料を使い、どのような工程で、どのような職人が作業するのか。その中身をしっかりと確認し、納得した上で投資をすることをお勧めします。私たちが心を込めて作った床が、お客様の新しい生活の土台となる。その誇りが、一つ一つの釘打ちに込められています。
職人が語る畳からフローリングへのリフォーム費用と品質の差