数年前の夏、私は夜な夜な現れる蚊の存在に頭を抱えていました。寝室の網戸には破れもなく、穴が開いている様子もありません。それなのに、朝起きると必ずどこかを刺されているのです。殺虫剤を使えば一時的には収まりますが、根本的な解決には至りませんでした。ある日、昼間に網戸をじっくりと観察してみたところ、驚くべき事実に気づきました。網戸を閉めているつもりでも、窓との間に一センチ近い隙間が開いていたのです。当時の私は、窓の開き具合を適当に調整しており、網戸の位置についても深く考えていませんでした。網戸は左右どちらにあっても同じだと思い込んでいたのです。しかし、調べてみると網戸には「正しい停止位置」があることを知りました。わが家の窓の場合、網戸を右側に固定し、右側の窓を全開にしたときだけ、網戸の枠と窓の枠が重なり合って隙間がなくなる仕組みになっていたのです。さっそくその通りにしてみたところ、確かに見た目上の隙間は消えました。ところが、それでもなお小さな羽虫が入り込んでくるのが分かりました。さらに追求してみると、網戸の横についているモヘアと呼ばれるフワフワした毛が、劣化してボロボロになっていたのです。これでは隙間風も虫も防げるはずがありません。私はホームセンターへ走り、裏面がシール状になっている隙間テープと、新しいモヘアを購入してきました。古いモヘアを綺麗に剥がし、新しいものを丁寧に貼り付ける作業は、思いのほか没頭できる楽しい時間でした。また、窓枠の下の方にわずかな隙間を見つけたので、そこには厚みのあるスポンジ状のテープを貼り、物理的に道を塞ぎました。さらに、網戸がレールの上で少し傾いているように感じたので、下にある調整ネジを回して水平を整えました。これら一連の作業を終えた日の夜、不思議なほどに虫の気配が消えました。網戸そのものの性能を疑う前に、窓との関係性や部品の劣化を疑うべきだったのだと痛感しました。自分自身で隙間を一つずつ埋めていく工程は、家をメンテナンスしているという実感を伴い、とても満足感のあるものでした。今では、毎年初夏になると網戸の隙間チェックを行うのが私の習慣となっています。このひと手間のおかげで、わが家には平和な夜が戻り、網戸越しに聞こえる虫の音を安心して楽しめるようになりました。
網戸と窓の隙間に悩まされた私の夏の実体験記