両親が暮らす実家を、将来自分たちが住み継ぐために、あるいは両親が安全に老後を過ごせるようにフルリフォームしたいという相談が増えています。築30年から四十年が経過した一軒家を、現代の生活水準に合わせ、かつバリアフリー化まで含めたフルリフォームを行う場合、一体いくらの予算を準備すべきでしょうか。一般的に、建物の構造を活かしつつ中身をすべて新しくする「スケルトンリフォーム」の場合、坪単価で五十万円から八十万円程度が目安となります。三十坪の一般的な住宅であれば、一千五百万円から二千四百万円ほどの費用がかかる計算です。この金額を聞いて「それなら新築の方が良いのではないか」と感じる方もいるでしょう。確かに、金額面だけで見れば新築と大差ないケースもありますが、リフォームには固定資産税の負担が増えにくいことや、住み慣れた土地の環境を変えずに済むといった利点があります。実家のリフォームでいくら予算を割くべきかを決める際、最も優先すべきは「家の健康診断」です。古い家の場合、基礎にひび割れがあったり、土台が腐っていたりすることが多いため、まずは耐震診断を受け、補強工事にいくらかかるかを算出します。耐震補強だけであれば、自治体の助成金が数十万円出ることもありますが、自己負担として百万円から二百万円は見ておく必要があります。次に考えるべきは断熱性能です。昔の家は夏熱く冬寒いのが当たり前でしたが、床、壁、天井に断熱材を入れ、窓を断熱性能の高いサッシに変えることで、光熱費を抑え、ヒートショックのリスクを減らすことができます。これにさらに二百万円から三百万円を充てます。そして、残りの予算で間取りの変更や最新設備の導入を行います。例えば、細かく仕切られた和室をつなげて広いリビングダイニングにしたり、段差をなくして手すりを設置したりといったバリアフリー化です。キッチンや浴室などの設備については、あまりに贅沢を言わなければ五百万円程度で一通り揃えることができます。リフォーム費用を計画する上で忘れがちなのが、工事中の仮住まい費用や引っ越し代、そして不用品を処分するための費用です。特に実家には数十年にわたる荷物が溜まっていることが多く、これらを一掃するだけで数十万円の処分費用がかかることもあります。自分たちが将来その家に何年住むのか、その間にさらに修繕が必要になる場所はどこかといった長期的な視点を持ち、トータルでいくらまでなら住居費として許容できるかを家族でじっくり話し合うことが、後悔しない実家リフォームの第一歩となるでしょう。